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し、それは同型が低粘膜防御能であることに起因する可能性が言われている程度である7)。我々の疫学的検証では、ABO式血液型について、胃疾患では、型に拘らず一様にH.pylori感染は成立しており、関連性は認めなかった。同様に少数例ではあったが、消化性潰瘍例を抽出して観察した。しかし、潰瘍は確かにO型者に若干多いが、特定の型に感染率の高低はなかった(図には示さず)。一方、Lewis式血液型の表現型と感染率をみると、やはり明らがな相関はないと言ってよいと考えられた。ただし、Leb抗原の存否で感染率が若干高低する可能性はあるようで、この点には留意しておきたい。また、Leb抗原が感染とある程度関わる印象があるのに対し、共通のエピトープを持つO型者にそうした傾向が現れないのは、決定基以外の構造上の影響もあるのかもしれない。
Lewis式血液型の発現は遺伝的に規定されており、このことがH.pyloriの感染感受性に密接に関連する可能性がある。また、ABO式血液型と異なり、Lewis式血液型の表現型は誤判定することがあり、遺伝標識としての実地応用上の問題点を抱えている。そこで、我々はLewis式血液型に対する遺伝子型を判定して、各々の感染率をみた。これによると、Le

 

 

 

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